小城の人

小城と羊羹の素晴らしさを未来に伝える

　明治32年創業の羊羹の老舗「村岡総本舗」の社長を35年務め、羊羹と故郷・小城の発展に尽力してこられた村岡社長。江戸時代から始まったとされる煉り羊羹の伝統と先祖からの強い信念を受け継ぎ、味と製法に強くこだわってきました。

 「羊羹作りには国産の小豆から作った自家製餡が欠かせません。国産の小豆に含まれるあくは濃厚な色合いを生み出します。あくの苦味をまろやかにするために砂糖を入れるわけですが、今の時代は甘くないものが喜ばれています。でもそれでは羊羹本来の味になりません」と村岡社長。これまでに何万個もの自店の菓子を食べ、味を守っています。さらに羊羹本来の美味しさはそのままに、新しい切り口で価値ある商品を生み出しています。

　また、その情熱は小城の町づくりにも注がれ、長年にわたる多方面での貢献に対し、昨年の秋には旭日小綬章を受章。その足跡は尊敬する祖父・安吉さんと重なります。

 「若い時から苦労を重ねていた祖父は常々人のために尽くせと言っていました。物静かで葉隠を体現したような品格のある人でした。祖父の精神が我が社の精神だと思い、祖父生誕100年の年に『村岡安吉伝』を発刊しました。これからも、草創の精神を礎に、素晴らしい歴史と伝統のある小城と羊羹を未来に輝くものへとしていきたいです」と微笑みます。